腎臓内科

Nephrology and Diabetes

たんぱく尿外来の検査で
慢性腎臓病を予防。

腎臓病と言われてもピンとこない方が多く、診断のきっかけは、健康診断などで腎臓機能が落ちている、尿にたんぱくがでている、血が混じっているなどを指摘される事から始まる事が多いかと思います。また自覚症状が出てきたときには、すでに腎機能がかなり低下し、後戻り出来ないような状態で透析療法、腎移植などを行わざるを得ない状況になりえるため、慢性腎臓病は早期発見、早期診断が非常に重要です。定期健診で、尿たんぱく、尿潜血、腎機能低下を指摘されれば、すぐに腎臓内科を受診するようにしましょう。

■次のうち一つでも当てはまる方はご相談ください

  • ◎尿に泡立ちがある
  • ◎健康診断で腎機能低下、尿たんぱく、尿潜血を指摘された
  • ◎糖尿病があり腎機能が気になる

■外来で以下の検査が可能です

血液検査

現時点での腎機能評価、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの有無

尿検査

たんぱく尿の程度、尿潜血の程度

エコー検査

腎臓の形態チェック

慢性腎臓病の定義

  • Ⓐ 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在があきらかである
    (とくに尿たんぱくの存在が重要)
  • Ⓑ GFR<60ml/min/1.73m²

※Ⓐ,Ⓑのいずれか、または両方が3か月以上持続している。

【慢性腎臓病の重症度分類】

腎臓の機能を表す指標として、血清クレアチニン値をもとに糸球体濾過量を推定した推算GFR(eGFR)が用いられます。GFRは糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示す値で、健康な人では、GFRは100mL/分/1.73㎡前後ですが、「慢性腎臓病の定義」の通り、60mL/分/1.73㎡未満が持続(3か月以上)していれば慢性腎臓病と診断されます。その糸球体濾過量(GFR)をもとに評価し、G1(ステージ1)~G5(ステージ5)の5段階に分けられます。

ステージ/G1、G2

程 度
推算GFR値
(ml/分/1.73m²)
90以上
腎臓の状態G1は正常または亢進している状態で、G2は軽度に低下した状態
症状検査で異常があっても自覚症状はほとんどなく、たんぱく尿が高度の場合はむくみがみられる。
治療法腎臓の働きが低下している原因に対する治療を行います。糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣が原因の場合は、日常生活での塩分やカロリーを制限した食事や禁煙、運動、減量が大切です。

ステージ/G3a、G3b

程 度
推算GFR値
(ml/分/1.73m²)
ステージG3a
45~59
ステージG3b
0〜44
腎臓の状態軽度~中等度低下した状態中等度~高度に低下した状態
症状むくみ、手足がつる、夜間頻尿、腎性貧血による疲れやすさや顔色の悪さといった症状がみられる。
治療法ステージG1、G2の治療に加え、腎不全合併症の治療を行います。また腎臓の働きの低下をもたらす病気の治療と、生活習慣の改善に加えて、高血圧や貧血、心不全・肺水腫などの合併症に対する治療も行います。

ステージ/G4

程 度
推算GFR値
(ml/分/1.73m²)
15~29
腎臓の状態高度に低下した状態
症状むくみや尿量の減少、高血圧などの症状や体のだるさや頭痛、吐き気、食欲低下、睡眠障害などの尿毒症の症状が出る。
治療法食事療法や生活習慣の改善、薬物療法をより厳格に行います。肺水腫や不整脈などの尿毒症の症状や心不全、脳卒中などの腎不全合併症に注意し、現状維持をしていく治療が中心となり、腎臓の機能低下が進んだときのために透析治療や腎臓移植の準備も始めます。

ステージ/G5

程 度
推算GFR値
(ml/分/1.73m²)
15以下
腎臓の状態極度に低下した末期腎不全の状態
症状尿毒症の症状が進行し、肺水腫や心不全、呼吸困難、意識障害などの命にかかわる状態。
治療法腎臓の機能を補う腎代替療法として透析治療や腎臓移植が必要で、透析治療を開始しても食事療法や生活習慣の改善、薬物療法は継続します。